貫入(かんにゅう)のお話し

2022年7月12日|おうちごはん, 取り扱い, 木のね, 益子焼

「貫入(かんにゅう)」をご存じですか?

特に陶器には関係深いものなので取り扱い上知っていると、長い間楽しくお使い頂けるかと思います。

貫入とは「陶器を水に浸したりすると、亀裂のような模様が表面に見えることがあります。 これは貫入といって、陶器が焼かれた後の冷えていく過程で、陶器本体の素地と釉薬の収縮度の違いにより釉薬がヒビのような状態になって固まる現象です。」という説明を見かけます。

乾いている状態で使用前の器

水に浸してみると

水に浸した器

陶器の本焼成は、いちばん高くて1230度から1250度までの温度で焼成します。この時窯の中の釉薬で覆われた粘土で成形した素地と釉薬は真っ赤になって膨張しています。この後火止めをするとゆっくり温度が下がっていきます。温度が下がると同時並行して素地や釉薬は縮んでいきます。この時の縮み方(収縮率)が素地と釉薬とで違うために釉薬にひび模様ができるのです。つまりいっぱい縮みたい素地とあまり縮みたくない釉薬が目一杯頑張って出来たものがひび模様の貫入なのです。

貫入は天然素材を材料としていますと起こりやすいです。木のねは釉薬の材料を天然のものを使用しておりますので貫入になりやすいのです。

陶器の粘土は磁器土とは違い粘土の目が荒いです。陶器に水が浸み込むとぶつけた時に欠けやすくなってしまいます。できる限り釉薬で水が浸透するのを防ぎたいと努力していますが、陶器の粘土では限界があります。そこで木のねでは「目止め処理」を行い水が浸み込むのをある程度抑える事をしています。多少しみ込む事があるかもしれませんが乾燥させると無くなると思います。

「目止め処理」を施していますが長くお使い頂くために、ご使用後は速やかに洗いよく乾燥して下さい。

キャラメリゼの器

上の写真はキャラメリゼのお皿です。黒っぽいので水が浸み込む様子は見られません。ですがさっと軽く濡らしてみると貫入の様子を見る事ができます。

ズームしてみました。

濡れている部分をズームした写真です。ひび模様のようなものを確認できるかと思います。これが貫入です。但し「目止め処理」を施していますので水が侵入しようとしても侵入出来ないのでこのような水によるひび模様が見られます。もし侵入出来るのならばこのような模様は見られないと思います。

長く気持ちよくお使い頂くために、焼成後「目止め処理」を行っております。

ご購入後初めてお使いになる時の煮沸処理はかえって水を器の奥まで浸透させることとなってしまいなかなか跡が消えませんので、行わないでください。また、長時間に渡りお料理をのせたままにしたり、ラップをかけて保管したりもなさらないでください。

磁器の器と違い少し柔らかい目の荒い陶器は、少し手を掛けて長く楽しくお使い頂きたいと思っております。それも器使いの楽しみのひとつなのです。やさしい気持ちで包み込んでみて下さい。

楽しい器の暮らしをお過ごし下さいませ。

同じカテゴリー おうちごはん取り扱い木のね益子焼 の記事はこちら